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狂人のたわごと

アイドル経済・中国経済のからくり5

 あるマンションに可愛い女子大生(将来性豊かな投資資産)が住んでいるとしよう。ところが金持ち(金融機関)がこの女子大生に目をつける。そこで金を出してもっと大きなマンションに移し、彼女をタレントとして事務所(先進国の富裕層及び優良企業)に売り込む。もちろんタレントとして売り出すにはもう少し磨き上げる(インフラ整備)必要があるし、生活の面倒(技術と資金の供与)も見てやる必要がある。その際に生活水準(GDP)が急に上がってしまい、仕事を取る(輸出市場の獲得)ことができれば、金を出した金持ちとしても儲かるし、彼女を雇い入れた事務所も利益を出すことができる。さらに可愛い女子大生も自分の生活と自分の未来の両方を手に入れることができ、これだけ見ればまさにWIN WINゲームの関係にあると考えていい。

*タレントVS芸能事務所*
 ただし女性の生活は彼女のサラリーで維持されている訳ではない。本人が受け取っている利益は彼女が取ってきた仕事の売り上げよりはるかに小さいが、彼女の地位を築くために投資された資金は彼女が仕事で上げた利益よりもはるかに大きい。
 この結果少しばかりおかしなことが起きる。彼女は自分が収奪されていると信じてしまうのだが、彼女に投資した金持ちと事務所の側は、未だ利益を云々できる段階ではないと思っている。この結果二つのサイドで彼女の利益に対する考え方は驚くほど隔たることになってしまう。
 彼女は自分のお陰で金持も事務所も不当に利益を上げていると信じている。一方事務所と金持ちの側は、自分達がいなければ彼女はやっていけないと思い込んでいる。ところがこの時テレビの画面で彼女を見ている一般の大衆は、正しいのは女性タレントの方だと信じ込むのだ。

*タレントか事務所か*
 実際にこの類の話は世間をよく騒がせるが、事務所と喧嘩して飛び出したタレントは大抵まともに仕事が取れなくなってしまう。彼女は雑用(技術供与や原材料の仕入れ、商品の販売等)を全て事務所に任せており、さらにマスコミの評価(ブランドイメージ)に関しても人脈がものを言うため、自分の魅力だけではなかなか仕事を取ることができない。おまけにプライバシーの保護を始めとして、タレントの周りには様々な仕事がある。本人はそれを事務所に丸投げしているため、自分でそれをやった上で売り込みもやるとなると、仕事の利益の多くがそちらの方に消えていくのだ。さらに仕事を持ち込んでくる相手側としても、後ろに付いているのが大きな事務所でなく個人の小さな事務所だとなると、できるだけギャランティーを低く抑えようとしてしまう。この結果女性タレントは予定していた収益を上げられなくなるのだ。
 だがこういった事情は一般大衆にとってはどうでもいいことだ。一般大衆はタレントの事は知っていても、事務所やパトロンのことは知らない。したがってそういうことに詳しいはずのマスコミでさえ、タレントの力を過剰評価してしまうことになる。では仮に彼女が自分の実力を過信し、独立した上でパトロンと事務所の悪口を言いまくった場合、果たして彼女は自分で信じているほどの利益を上げることができるだろうか。

*ひがみと真っ当な批判*
 ここで少し話を変えてみよう。
 アイドルタレントが住むマンションの近所に、たまたま真面目であまり綺麗でない女性がいるとしよう。年齢ももう四十代に差し掛かっており、綺麗なマンションでちやほやされているアイドルの女がどうにも目障りで仕方がない。
 しかしながら金持ちの男は彼女には無縁だ。将来的にタレントになれるはずもないし、真面目に働いて自分のサラリーだけで食っていくしかない。しかも彼女自身働いている会社に利益を与えていると断言できる自信は全くない。むしろサラリーを貰えるだけありがたいという状況で、こうなると未来への希望はアイドルの女性とはひどく差のあるものになってしまう。
 当たり前だが、こうなるとその女性はアイドルタレントを忌み嫌うようになる。ところが世間はこの中年女性の言い分を単なるひがみだと見なす。
 これ自体は別に不思議ではない。西側の投資で潤っている中国だが、日本のような先進国だけではなく、発展途上国や中進国の間でも中国に対する反感は出ている。だが中国の未来を信じ切っている人々にとって、こういった発言はねたみとしか思えないようだ。実際にはねたみを越えた部分が存在しており、それはこういった中国の状況が長期的に続くかどうかという疑問から発している。

*ねたみを晴らすには*
 だがもう少しねたんでいる女性の話を続けてみよう。彼女としては金持ちの金でのし上がった女性には何とか没落してほしい。そこでまずタレントとして人気がなくなればその女性をチヤホヤする連中は減っていくことが予想できる。しかしながらそうなっても住んでいるマンションは金持ちの金によるものなので、金持ちが他の女性に乗り換えるか金持ち自身が破産しないと、なかなかその女性タレントの生活水準を下げる事は出来ない。
 しかも落ち目になった女性タレントの悪口を言っていると、タレントのファンが今度はその中年女性の悪口を言い始める。自分が綺麗じゃないからといって綺麗なタレントの悪口を言うなんて最低だと言われてしまい、いくら落ち目でも女性タレントは中年女性よりもはるかにいい暮らし(高い購買力)をしていると言ってからかわれる。その上女性タレントを褒めちぎっていたマスコミが、これこそまさにねたみそのものだと言って地味な中年女性の悪口を言い始めるのだ。
 こうなるといくら人気が落ちても、事務所とパトロンの資産が崩れない限り、その女性タレントの生活は簡単に壊れそうもない。もちろん年をとれば徐々に魅力はなくなるのだが、その時は若いタレントを連れてきて売り込むという方法もあり得る。金持ちと事務所が潰れれば状況は変わるが、金持ちは先進国の金融機関であり、事務所は先進国の富裕層や有力企業である。両者ともに破産するとなると、中年女性(先進国市民)の生活もずいぶん苦しくなるに違いない。

*シンデレラと共産党*
 ひどく下品な例えになったが現在起きている状況はこれに近い。新興国の経済が何故急に伸びたかといえば、先進国の富裕層の投資資金を大量に飲み込み続けたからだ。したがって中国の未来は明るいそうだが、中国国民の所得は相変わらず低い。金を持っているのは金持ちと事務所であって一般大衆ではないからだ。もちろんタレントの親族(共産党)は札びらを切っているが、その恩恵が一般人にまで及んでいるわけではない。
 現在中国の富裕層の数は2000万から3000万と見られている。確かに物凄い数ではあるが、これに比較的余裕があると言われる一億を加えても、全体の中で1割程度がある程度の消費を行なえる所得層ということになってくる。さらに共産党員の数が8000万と言われている。これだけ見ると共産党とその取り巻きだけがそれなりに豊かな暮らしをしていると考えていい。では彼らが物凄く働いているかと言えば、もちろんそんな事実はない。ぼろ儲けをしている共産党の幹部は、ただ単に金のある場所に行ってワイロなどの形で金をくすねているだけで、その意味ではまさに強欲なタレントの親族である。

*アイドルはGDPを押し上げる*
 普通ここまでデタラメをすると国内の経済が無茶苦茶になってくる。ところが現実には海外から流れ込んでくる資金と技術がある。もちろんそれが経済の全てではない。例えば女子大生が投資対象になった場合、彼女がぜいたく三昧をすればその周辺はその消費で潤うことができる。しかもアイドルが1人ではなく100人になればマンション周辺の商店はそれなりに利益を出せるようになる。ではアイドル100人が急にクビになればどうなるか。お金が流れ込んでくる一番上の層が消えてしまうわけだから、当然金の動きはおかしくなってくる。

*金持ちとアイドルの関係*
 元々よく考えてみれば一番金を持っているのはアイドルに出資した金持ちだ。その状態で女性はタレント活動を行っている。その時事務所にはかなりの金が入っており、女性はその売り上げの一部しかもらっていない。彼女はそのことで怒っているが、最初から金を持っているのは金持ちと事務所であって彼女自身ではない。したがって金持ちと事務所の社長さえいれば、女性がクビになっても金がどこかへ消えてしまうわけではない。ただし厄介なのは売れるタレントがいなくなれば事務所の社長も生活に困ることになる。
 ついでに言うと金持ちは移り気で、もう魅力がないとなれば女性に出資し続けるなどということはあり得ない。かつてメキシコがアメリカ富裕層の金でブームになったことがあったが、メキシコが儲からないとなると、アメリカの投資家達はみんなメキシコから逃げ出してしまった。
 ところがメキシコ人自身はアメリカの金で大儲けできると思っていた。そこで投資家を喜ばせるために様々な投資を行い、人を雇って業容を拡大させたりしたのだが、金持ちがいなくなってしまうとタレントだけいてもどうしようもないことになってしまう。

*目には目を*
 ただしこういった考え方はやはりタレントになれない女性の悲しいひがみということなのかもしれない。雑誌や新聞には中国経済との結びつきがないと日本には未来がないと書かれている。ケチをつける暇があるならせっせと稼げということだろう。しかしながらそれでは面白くない。そこでアイドルに対抗して自分達も魅力を磨くことになるし、それ自体は必ずしも的外れではない。日本やアメリカから資金が流出して新興国に流れ込んでいるのも、要は投資家にとって利益を出すのが新興国であるというそれだけの理由だからだ。
 この場合中国やインドをねたんでも仕方がない。中国やインドの力の源泉はあくまでも金を持っている連中がどこに金を流し込むかで決まっている。従って日本国内やアメリカ国内に投資させたいなら、そこに魅力があるということを自覚させるしかない。ただし低賃金労働や強権主義で利益率を提示しても仕方がない。

*発展分野はどこにあるか*
 現在先進国では国民の七割程度が第三次産業に従事している。こうなると未来が輸出企業のものではなく第三次産業のものであることを証明できれば、第三次産業が小さく弱い中国のような国は魅力がなくなってしまう。したがって日本でも輸出産業に力を入れろという声が出ているが、これ自体は馬鹿げた話だ。
 先進国が膨らんだ胸や(低賃金労働)ミニスカートの足(低い為替レート)で魅力競争をすると、どうしても新興国には見劣りすることになる。だが第三次産業の発展性で勝負するなら産業比率の差がそのまま発展性の差に跳ね返ってくる。
 また第三次産業は人的資源の消費が非常に盛んである。つまり優秀な人材を確保しないと、充実したサービスができない業界でもあるのだ。日本で第三次産業の人件費は低いが、その分だけ充実したサービスは難しくなる。家電量販店などが注目を浴びているが、その実態はサービスを徹底的に省いて人件費の比率を下げるという方向で行われている。だが第三次産業が発展する時には、優秀な人材確保のために逆に人的サービスの比率を上げざるを得ない。その際に第三次産業では人件費の上昇が起きるはずだ。その上第三次産業は大衆経済が前提にならないと成立しない。中国の国民所得を上げないと中国では発展性が低く、にもかかわらず共産党が金を吸い上げているため、そう簡単に国民所得を上げられない状態になっている。

*青い鳥はどこに*
 この点をクリアすれば、今後はアイドル達(新興国)と胸や足の露出で争う必要はなくなってくる。中年女性も十分に若い女子大生と争うことができるわけで、この分野に関しては若い女性にはおそらく勝負するチャンスはほとんどないだろう。その意味ではいい加減輸出にこだわるのをやめて第三次産業に焦点を合わせるべきなのだが、世間は相変わらず貿易にばかり注目しているようだ。

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